
『進撃の巨人』の主人公・エレンの父として登場するグリシャ。グリシャは自らをエレンに捕食させることで『始祖の巨人』『進撃の巨人』という2つの巨人の力をエレンに継承させました。エレンに巨人の力を継承させたグリシャが託した思いとは…。ここではグリシャ・イェーガーの過去と正体、そしてエレンに巨人の力とともに託した思いについて解説していきます。
【©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会】
『進撃の巨人』に登場するグリシャ・イェーガーとは?
【©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会】
グリシャ・イェーガーは『進撃の巨人』の主人公エレン・イェーガーの父親として登場する人物です。
グリシャはウォール・マリアのシガンシナ区で医業を営んでおり、妻・カルラと息子・エレン、養子として受け入れたミカサとともに暮らしていました。
ある日、グリシャは息子・エレンを森に連れ出します。そして、巨人の秘密が隠された地下室の鍵を渡した後、巨人化させたエレンに自らを捕食させ『始祖の巨人』『進撃の巨人』という2つの巨人の力を託しました。
グリシャが2つの巨人の力を保持していた理由、そしてエレンに巨人の力を継承させた理由には彼の過去が関係していました。
グリシャが巨人の力とともにエレンに託した思いとは……?
『進撃の巨人』グリシャが自らをエレンに捕食させ巨人の力を継承
【©諫山創・講談社】
107年前、人類は巨人によって食い尽くされるという悲劇に見舞われます。その後、人類は安全な領域を確保するために3つの壁『ウォール・マリア』『ウォール・ローゼ』『ウォール・シーナ』を築きました。
それから5年後、再び人類に悲劇が…。50mのウォール・マリアの壁を越える超大型巨人によってウォール・マリアに穴を開けられ、そこから巨人が街に侵入してくるのです。
その際、グリシャの妻でありエレンの母であるカルラは飛散した壁の破片によって家の下敷きとなり、身動きがとれないまま巨人によって食われてしまいました。
シガンシナ区が没落後、グリシャは避難中であったエレンを森に連れ込みます。そして、グリシャは「母さんの仇はお前が討つんだ!!」と伝えエレンに謎の注射を打つのです。
父・グリシャに注射を打たれたエレンは巨人化。そして、巨人となったエレンは父・グリシャを捕食してしまいます。
これは事故ではなく、グリシャが意図していたことでした。グリシャは自らをエレンに捕食させることで、自分がもっていた『始祖の巨人』『進撃の巨人』という2つの巨人の力を継承させたのです。
『進撃の巨人』グリシャ・イェーガーの目的は何だったのか?
【©諫山創・講談社/「進撃の巨人」製作委員会】
ウォール・シーナを巨人によって破壊され人類に危険が迫るなか、グリシャは息子・エレンに自らを捕食させ『始祖の巨人』『進撃の巨人』という2つの巨人の力を継承させます。
グリシャはなぜ『始祖の巨人』『進撃の巨人』という巨人の力をもっていたのか。そして、グリシャがエレンに巨人の力とともに託した思いとは何だったのか。
グリシャがエレンに巨人の力を託した理由には、妻・カルラの仇を討ち、人類を巨人から守るという以外にも、彼が抱えていた使命・思いが隠されていたのです。
グリシャが巨人の力をもっていた理由、そしてエレンに託した“ある思い”について知るために、彼の過去について振り返ってみましょう。
『進撃の巨人』グリシャ・イェーガーの過去について振り返る!
グリシャ・イェーガーの出身・祖先について
【©諫山創・講談社】
エレンの父・グリシャはマーレが管轄するエルディア人収容所『レベリオ収容区』で生まれ育ちます。
グリシャたちエルディア人の祖先「ユミル・フリッツ」は1820年前に“大地の悪魔”と契約し巨人の力を手に入れました。
そして巨人の力を手に入れたエルディア人はエルディア帝国を築き、古代大国のマーレを滅ぼし迫害していったのです。
しかし、その後マーレの内部工作によりエルディア人は弱体化。さらに、マーレはエルディア人が従えていた“九つの巨人”のうち七つの巨人を手に入れ、エルディア人はマーレに破れることになりました。
その後、マーレに破れたエルディア人の大半はパラディ島に逃げ込み三重の壁を築きます。一方、一部の非マーレ派のエルディア人はパラディ島に移り住むことなく、マーレが管轄するエルディア人収容所『レベリオ収容区』で暮らすこととなりました。
そのマーレが管轄するレベリオ収容区でグリシャは生まれ育ちました。
グリシャが妹・フェイをマーレ人に殺害される
【©諫山創・講談社】
ある日、少年グリシャは飛行船を見るために妹のフェイとともに検問所を突破してマーレの敷地内に無許可で足を踏み入れてしまいます。
すると、マーレ治安当局のクルーガーとグロスに見つかってしまいグリシャはその場で拷問を受けます。
グリシャは先に妹のフェイが帰宅したものと考えていましたが、その後フェイが河原で死体となって発見されるのです。
マーレ治安当局によってフェイが殺されたのは確実でしたが、グリシャの父は保身のためにマーレ人にへりくだるばかり。
グリシャはそんな父の姿への失望感やマーレ人に対する憎しみを抱えながら成長していきます。
マーレに復讐を誓うグリシャがエルディア復権派に加わる
【©諫山創・講談社】
マーレへの復讐を誓うグリシャは、その後父の跡を継いで医師となります。
ある日、グリシャの診療所に患者を装ったエルディア復権派のグライスが訪れます。
すると、グリシャはグライスからフェイの死の真相について聞かされることに。
当初、フェイの死因については知らないと供述していたマーレ治安当局のグロスでしたが、フェイはグロスたちによって犬に食わされ殺害されていたのです。
グリシャは妹の命を奪ったマーレに必ずや復讐すると誓い、自身もエルディア復権派に加わりました。
グリシャとダイナの間にジークが生まれるが…
【©諫山創・講談社】
その頃、グリシャが加わったエルディア復権派ではマーレ側に「フクロウ」という人物を情報工作員として派遣していました。
フクロウの情報から始祖ユミルの行いの正当性を信じ、マーレへの復讐とエルディアの復活を誓うなか、グリシャはフリッツ王家の末裔の一人であるダイナと出会います。
マーレが奪った「始祖の巨人」を奪還しフリッツ王家の末裔であるダイナへ返上することを誓うなか、やがてグリシャとダイナは結ばれ、2人の間にジークが生まれました。
その後、マーレがパラディ島を攻めるために「マーレの戦士」を募集していることを知ったグリシャは、先手を打つべく息子ジークを洗脳し「マーレの戦士」へ送り込みスパイの役目をさせようと考えます。
しかし、ジークは父・グリシャを裏切りマーレへ密告。グリシャはマーレから情報工作員の「フクロウ」の存在について問いつめられ拷問を受けることに。
その後、グリシャは妻・ダイナやエルディア復権派のメンバーとともに、マーレ治安当局によってパラディ島と海の境界線にある壁へと連行されます。
グリシャがクルーガーから託された2つの使命
【©諫山創・講談社】
グリシャがパラディ島の壁に連行されると、そこでエルディア復権派の仲間たちがマーレ治安当局によって次々と巨人化されていきます。
そんな中、グリシャはかつて妹・フェイを殺害したマーレ治安当局のグロスと再会。グリシャはグロスによって巨人の餌とされそうになります。
すると、マーレ治安当局になりすましていた「フクロウ」ことクルーガーに助けられ、グリシャは死期の近いクルーガーから「進撃の巨人」の継承と「始祖の巨人」の奪還を託されました。
グリシャはフクロウを捕食して「進撃の巨人」を継承。その後、シガンシナ区のウォール・マリアの壁外周辺をうろついていたところを、当時の調査兵団団長であったキース・シャーディスに発見されます。
グリシャは壁外でのことを隠すために記憶喪失を装い、壁の中で医師として働き始め、やがてカルラと結婚しエレンを授かりました。
『進撃の巨人』グリシャがフリーダから“始祖の巨人”を奪った理由
【©諫山創・講談社】
パラディ島の壁の中に移り住んだグリシャは、その後カルラと結婚しエレンを授かります。一方で、グリシャは「始祖の巨人」の奪還のために動いていました。
その頃、グリシャが奪還を目指す「始祖の巨人」はレイス家に伝わっており、「始祖の巨人」はロッド・レイスの長女であるフリーダによって継承されていました。
レイス家のルーツはグリシャたちエルディア人と同じくユミル・フリッツにあります。もともとはフリッツ家を名乗っていましたが、第145代フリッツ王の時代にレイス家と名乗るようになったのです。
それまでフリッツ家は巨人の力によって人類の驚異となる巨人を駆逐していました。しかし、第145代フリッツ王が戦うことを放棄。フリッツ王はパルディア島にエルディア人たちと移り住み、そこで始祖の巨人の力を使ってウォール・マリアなどの3つの壁を築き、壁内で平和な暮らしをすることを選択したのです。
その際、フリッツ王はエルディア人たちが再び壁の外に関心を持たないよう、人々の記憶を改竄して「壁外の人類は滅亡した」という記憶に書き換えます。さらに、第145代フリッツ王の時から「フリッツ家」ではなく「レイス家」と名乗るようになり、代わりに仮の王をたて自分たちは壁内の実質的な最高権力者となることを選択しました。
パルディア島にマーレ人が攻め入ろうとしていることを知るグリシャはレイス家に再び始祖の巨人の力を使って立ち向かうよう要求。しかし、その頃のレイス家は戦うことを望まず、全ては神に委ねるという思想をもっていたのです。
時一刻とマーレ人の襲撃が近づくなか、グリシャは仕方なしに巨人化しフリーダを捕食して「始祖の巨人」を奪還しました。
『進撃の巨人』グリシャ・イェーガーが手にした2つの巨人の力
グリシャはクルーガーから「進撃の巨人」、そしてフリーダを捕食することで「始祖の巨人」という2つの巨人の力を手にします。
グリシャがフリーダを捕食することで手にいれた「始祖の巨人」は九つの巨人の頂点に君臨する力をもっています。進撃の巨人、鎧の巨人、超大型巨人…など全ての巨人は「始祖の巨人」の魂が分け与えられ創造されたものなのです。
しかし、その巨人の力を手にしたものは同時に「寿命が13年となる」という代償を払うことになっています。死期が近づくグリシャでしたが、そこにマーレ人側についている鎧の巨人(ライナー)や超大型巨人(ベルトルト)などが迫り状況は急速に悪化。
グリシャは自分がもつ「始祖の巨人」「進撃の巨人」を息子・エレンに継承させようと急ぎます。
『進撃の巨人』グリシャはエレンに自分を食べさせて巨人の力を継承させた
鎧の巨人(ライナー)や超大型巨人(ベルトルト)が始祖の巨人を奪おうと迫るなか、グリシャはエレンを巨人化させ自らを捕食させることで「始祖の巨人」「進撃の巨人」をエレンに継承させます。
グリシャは「始祖の巨人」「進撃の巨人」の力を継承させるとともに、妹・フェイの命を奪ったマーレ人への復讐をエレンに託したのです。
その後、エレンや調査兵団のメンバーは、グリシャが地下に隠していた3冊のノートから巨人の成り立ちやマーレとエルディア人との間にある因縁について知ることとなりました。
また、グリシャを通して「始祖の巨人」「進撃の巨人」を継承したエレンは始祖の巨人や父・グリシャの記憶までも引き継ぐこととなりました。