
ここでは『進撃の巨人』に登場する“切り裂きケニー”ことケニー・アッカーマンについてご紹介します。暴力に狂うケニーの目的とは一体何だったのか、そしてリヴァイとの間にある関係とは!?
【©諫山創・講談社】
『進撃の巨人』に登場するケニーとは
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『進撃の巨人』に登場するケニー(フルネーム:ケニー・アッカーマン)は、中央第一憲兵団の対人制圧部隊隊長。隊員からは「アッカーマン隊長」と呼ばれています。
銃撃も行うケニーですが、主にはナイフを利用した戦闘スタイルを得意としています。そんなことから巷では「切り裂きケニー」として名が知られている人物です。
実は、ケニーはリヴァイと一緒に暮らしていた過去があり、その際にリヴァイはケニーから処世術を教わっていました。後に、ケニーとリヴァイとの間にある関係が明らかに…。
『進撃の巨人』ケニーの一族“アッカーマン家”の歴史
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ケニーの一族“アッカーマン家”は、もともと王側近の武家でした。しかし、その後ケニーの一族であるアッカーマン家は王政によって根絶やしにされていくことに…。
ケニーの一族であるアッカーマン家は王政に恐れられる存在でした。その理由はレイス王がアッカーマン家を操ることができなかったことにあります。
壁内の人民は大きく『大多数の単一民族』と『ごく少数の独立した血族』の2つの民族で構成されています。その内、ケニーのアッカーマン家や東洋人が『ごく少数の独立した血族』に当たります。
レイス王の理想は、壁内の全ての人民から過去(壁外)の歴史を消し去ることで、一糸乱れぬ平和を実現すること。しかし、アッカーマン家や東洋人などの少数派民族は王による記憶改竄の影響を受けることはありませんでした。
さらに、ほとんどの血族が王政に従うなか、アッカーマン家と東洋の一族だけは人民の記憶を改竄して平和を実現しようとする王政に反発したのです。
その結果、アッカーマン家と東洋の一族は王の理想とする統治方法の障害となり、王政から命を狙われることとなったのです。
『進撃の巨人』ケニーとウーリ・レイスの関係
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ケニーは一族“アッカーマン家”を根絶やしにした王に復讐すべく、当時の壁内の王であったウーリ・レイスのもとへ。
しかし、ケニーは始祖の巨人を宿したウーリによって捕えられ、ロッド・レイスからも命を奪われかけてしまいます。
すると、ケニーが王政によって迫害されてきたアッカーマン家の末裔だと気づいたウーリは、ケニーを解放し「我々がアッカーマン一族にもたらした迫害の歴史を考えれば…君の恨みはもっともだ…」と謝罪。さらに、壁の中にさえ人民の幸せを築くことができなかった王である自分を許して欲しいと頭を垂れたのです。
その時、ケニーは下賎の身である自分に頭を下げるウーリ・レイス王の姿に心が揺らぎ、壁内の統治への協力を申し出ました。これが、ケニーが中央憲兵団に入団することとなったいきさつです。
『進撃の巨人』ケニーはリヴァイの叔父だった!
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『進撃の巨人』のストーリー内でケニーとリヴァイの関係が明らかに。なんと、ケニーはリヴァイの叔父だったのです。
ケニーには生き別れとなったクシェルという妹がいました。クシェルは地下街で娼婦として働き、そして客人との間に身ごもった子供を出産します。その生まれた子供がリヴァイです。
その後クシェルは病気を患い死亡。ケニーは母を失い孤児となったリヴァイを引き取り、彼を育てながら処世術を身に着けさせます。
しかし、ケニーは自分がリヴァイの父代わりをすることはできないと考え、リヴァイがなんとか生きていけるほどの強さを持ったことを確認し、リヴァイの前から姿を消したのです。
『進撃の巨人』ケニーの正体はヒストリア(クリスタ)の母の命を奪った人物!
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ケニーの初登場シーンはヒストリア(クリスタ)が母親を殺害された時のこと。実は、ヒストリア(クリスタ)の母親の喉を切って殺害した黒服の人物の正体こそケニーだったのです。
当時の壁内の王であったウーリ・レイスが亡き後、ケニーは王に即位したロッド・レイスに仕えるように。そして、ある晩ロッドの命令によってケニーはヒストリア(クリスタ)の目の前で彼女の母を殺害します。
ヒストリア(クリスタ)はロッドと妾との間に生まれた子供でした。それ故、王政はもちろん周囲にとってもヒストリア(クリスタ)とその母は疎ましい存在だったのです。
ヒストリア(クリスタ)の母はヒストリアに「お前さえ産まなけ…」と言い切る直前で、ケニーに喉を切られ殺害されます。
そこには、幼い少女だったヒストリア(クリスタ)に母の「お前さえ産まなければ」という残酷な言葉を聞かせまいとするケニーなりの気遣いがあったのかもしれません。
『進撃の巨人』ケニーの目的とは一体何だったのか考察
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「切り裂きケニー」として恐れられるようになったケニー。彼の最終的な目的とは一体何だったのかを筆者なりに考察してみます。
まず、当初のケニーの目的は一族のアッカーマン家を根絶やしにした王政への復讐、そしてアッカーマン家の復興にありました。しかし、王でありながら壁内に幸せを築けなかったことに頭を垂れて謝罪するウーリ・レイスの姿に、ケニーは心を揺らします。
“暴力の強さ”こそ世界の盤上をひっくり返す唯一の手段だと考えていたケニー。しかし、ケニーはウーリが暴力以外の方法で世界を変えようとする姿に「ウーリと対等な景色を見たい」と考えるようになるのです。
そこで、ケニーは自らが巨人となりかつてウーリが保持していた「始祖の巨人」を継承するエレンを捕食しようとします。しかし、ロッドからレイス家の血族でないものは巨人の力を発揮できないと知り、ケニーは「俺が巨人になってエレンを食っても意味ないのかよ…」と愕然とするのです。
つまり、ケニーの最終的な目的は「暴力以外の手で世界を変えようとするウーリが見ていた景色を見ること」だったのです。
始祖の巨人を手に入れることができなかったケニーですが、死の寸前にリヴァイにこのような言葉を残しています。
「今なら奴のやったこと…わかる…気がする…」
この言葉からケニーは巨人にならずとも、自身の目的であった「ケニーが見ていた景色を見ること」を果たすことができたのだと考えられます。
『進撃の巨人』ケニーの最期(死亡シーン)について
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ケニーはロッド・レイスが薬によって巨人化した際、その爆発に巻き込まれ重傷を負ってしまいます。
ケニーはロッドから奪った巨人化の注射によって延命する手もありましたが、敢えてその方法は選びませんでした。それは、ケニーが自身の目的であった「ケニーが見ていた景色を見ること」を果たすことができたからでしょう。
その後、ケニーは「あんた…本当は…母さんの何だ?」と聞くリヴァイに「バカが…ただの…兄貴だ…」と答え、持っていた巨人化の注射をリヴァイに託し最期を迎えました。