映画「桐島、部活やめるってよ」のネタバレ解説:宏樹が涙を流した意味

桐島、部活やめるってよ

【© 2012「桐島」映画部 (C) 朝井リョウ / 集英社】

 

「桐島、部活やめるってよ」の最後に気になるのが、宏樹が涙を流した理由について。

 

このラストシーンに、「桐島、部活やめるってよ」のストーリーの核心的要素が隠されています。

 

以下、筆者の考察とともに「桐島、部活やめるってよ」を解説していきます!

「桐島、部活やめるってよ」の結末内容

「桐島、部活やめるってよ」の主人公は設定では前田(演:神木隆之介)ということになっていますが、真の主人公(裏設定)は宏樹です、

 

宏樹は何か夢中になったこともなければ、未だに夢中になれるものを見つけられずにいる空虚感を抱いている人物です。「それやって何の意味があるの?意味ないんだったらやらない。」という考え方をしています。野球部の練習に参加しないのもその理由(ため)ですし、沙奈との交際も本気ではありません。

 

ある日、ひょんなことから桐島の友人達(本質主義者)と映画部の前田達(実存主義者)の争いが起こります。その争いは、結果的に映画部が桐島の友人達を追い払うという形で終焉を迎えました。

 

その後、宏樹はカメラの部品を拾い前田に渡します。その流れで宏樹が前田に話しかけると、前田はカメラのことについて熱く語り始めます。

 

その後、カメラに興味を持った宏樹はカメラを貸してもらい、前田を撮りながら「将来は映画監督ですか?」「女優と結婚ですか?」「アカデミー賞ですか?」と質問し始めます。宏樹の質問に前田は照れくさそうな表情をしながら「映画監督は無理…」と応えます。

 

「じゃぁ…なんで…」と宏樹が聞き直すと、前田は「時々ね、俺たちが好きな映画と今自分達が撮ってる映画が繋がってるんだなって思うときがあって…」と応えました。宏樹は前田の言葉に愕然とした表情を浮かべます。

 

今度は、前田が宏樹を撮り始めます。そしてレンズ越しの宏樹を「やっぱかっこいい」と前田が褒めると、宏樹は思わず涙を流し始めます。その後、宏樹は桐島に電話をかけながら野球部が練習する姿を眺めていました。

宏樹が涙を流した意味の解説・考察

まず、桐島がなぜ部活をやめたのか、そして学校にも姿を現さなくなってしまったのかについて考えてみましょう。

 

桐島は恐らくかなりの達観者です。そして、友人達をこのように思っていたはずです。「自分に左右されてばかりいるコイツ達は空っぽ人間だ」と。

 

事実、桐島がいなくなったことで、桐島を絶対的存在とし彼に依存していた梨紗や久保、竜汰や友弘の日常は混乱してしまいます。まるで、本質主義者が神の存在を失ったかのように。

 

一方、対照的だったのが映画部の前田です。前田は桐島がいてもいなくてもどうでもよく、いなくなった後もいつもと変わらない日々を過ごすのです。『本質主義が否定され、実存主義が肯定された…』とも言えるかもしれません。

 

そして、宏樹は『自分が楽しいから映画を撮っている。ただそれだけ。』という前田を前にして気づいてしまったのです。「あぁ…。俺も梨紗や久保、竜汰や友弘と同じように空っぽ人間だったんだ」「自分の意志なんて何一つ持っていなかったんだ」と。

 

それに気づいた宏樹は虚無感に襲われ涙を流した。これが宏樹が涙を流した意味ではないかと思います。
そして、宏樹が最後に桐島に電話をかけるシーンでは、「俺、お前が伝えたかったことにやっと気づいたよ」みたいなことを桐島に伝えようとしたのでしょう。

映画「桐島、部活やめるってよ」の解説まとめ

桐島、部活やめるってよ

【© 2012「桐島」映画部 (C) 朝井リョウ / 集英社】

 

映画「桐島、部活やめるってよ」がどんな内容の作品であるかの解説をご紹介してきました。改めて、ここまでの解説内容を整理してみましょう。

 

  • 友人達は桐島を絶対的存在として依存していた
  • 桐島は自分に左右されてばかりの友人達に何かを気づかせようとして、部活をやめ、クラスにも姿を現さなくなった
  • 友人達は案の定、桐島がいなくなったことで混乱する
  • しかし、桐島の存在などどうでも良い前田はいつもと変わらぬ日々を過ごす
  • 宏樹も友人達と動揺に中身が空っぽだったことに気づき、虚無感に襲われ涙を流した

 

以上が、映画「桐島、部活やめるってよ」の解説内容のまとめでした!

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